私の実家は岐阜県関市。母は今年75歳になります。先日、成人した長女を連れて帰省しました。母とは月に一度のペースで食事をしていますが、長女が母と会うのは実に約8年ぶり。ずっと胸の内にあった思いが、ようやく形になった日でした。
車窓に映る懐かしい景色
昼食に選んだのは、そば処「吉照庵(きっしょうあん)」。人見知りをしない長女が、「緊張していても食べられるものがいい」と控えめにリクエストします。「私、おばあちゃんと話せるかな…」という不安のひと言に、私まで少し胸が詰まりました。
自宅から実家までは車で約50分。いつも助手席の長女は、この日だけ後部座席へ。母への気遣いでした。「懐かしい景色、私、覚えているよ」――窓の外を見つめる長女の言葉で、見慣れた街並みが一変します。
金華山の岐阜城、長いトンネル、派手な看板のラーメン店。長女の視線を通すだけで、いつもの道のりが小旅行のように新鮮に見えました。
玄関先での再会
実家に着くと、母が玄関奥から笑顔でゆっくりと近づいてきます。その姿に、なぜか私の方が緊張してしまいました。「長女はうまく話せるだろうか」「母はどんな気持ちだろう」――そんな思いが頭をよぎります。
母は開口一番、「いっちゃん、久しぶり!」と弾む声。長女は少しぎこちなく「お久しぶりです…」と敬語で返しました。普段はおしゃべりな長女が、こんなに口数が少ないのは珍しい。
対照的に母は次々と話題を繰り出し、9対1の割合で会話をリード。孫を前にした喜びが、言葉の端々から伝わってきました。
帰り道にこぼれた本音
別れの時間が近づいても、長女の緊張は最後まで解けません。が、車に乗るといつもの調子が戻ります。
「ばあちゃん、昔と全然変わってないね」「すごく元気だね」「パパと似ているね」――次々に出てくる言葉に、胸の奥が温かくなりました。きっと彼女なりに、いろんな思いを抱えていたのでしょう。
長女に感謝
長年燻っていた願いが実った一日。長女は私が思う以上に大人で、私の気持ちを察してくれていたのかもしれません。
「パパの大切な人に会ってくれて、ありがとう」心の中でそうつぶやきながら、家族の絆の確かさを噛みしめました。











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