「一番偉い人へ~俺たちは~今何をす~るべきか~」スマホから聞こえてきた懐かしいメロディは、とんねるずの名曲「一番偉い人へ」。私が大学生時代に聞いていたもので、はや30年以上前の記憶。にもかかわらず、当時の映像が鮮明に浮かび上がってくるのには訳があります。
私は大学生になると、早々にアルバイトを始めます。目的は他でもないお小遣い稼ぎ。今振り返ると、これが大学生活を崩壊させた(少し大げさ?)一旦なのではないかと思います。その経験自体にはとても価値があるかもしれませんが、私の場合は過剰に打ち込み過ぎたのは明らかです。
何しろ月に10万円以上は当たり前で、多い時には社会人の初任給と同じくらいの稼ぎがありました。そのくらいアルバイトに精を出し、逆に言うと大学の授業を疎かにしていたことになります。代返(代わりに返事をすること)をどれだけ友達に頼んだことか。
自宅アパートの周辺を自転車で巡回していると、目に入ってきたのはお食事処「おくむら」アルバイト募集の張り紙。見るからに、地域密着といった外観です。優しいご主人に、それを支える奥さん、毎晩常連の客が集う場所、そんなお店なんだろうと勝手に想像してしまいます。
その予想は見事に的中。私をアルバイトとしてだけではなく、家族の一員として接してくれたのです。私はご主人のことを「マスター」、ご主人は私のことを「なおちゃん」とお互い呼び合うことに。常連客はカウンター越しにビールをご馳走してくれる間柄になります。
とある日に、「なおちゃん、これからスナックへ一緒に行かない?」常連客の一人からお誘いです。あまり乗り気ではなかったものの、無下にもできず引きつった笑顔で了承。人から期待されるとそれに応えようとしてしまう性格は、幸か不幸か昔から変わりません。
スナックの店内は、当時の私からすると異様な雰囲気。ママ(店主)がすぐに近寄ってきて、親し気な態度で話しかけてくれます。それが酒場の良さなのですが、経験の乏しい私は楽しむどころか気持ちが引くばかり。どれだけお酒を飲んでも、緊張が解れることがありません。
それを察したのか、カラオケを勧められます。カウンターの奥には幅2mほどのステージ、そこで歌うことを促されるのです。「もうこうなったらやるしかない」と踏ん切りがついたのか、イントロが流れ始めるとマイクを片手に仁王立ち。その時の選曲が今日の想起に繋がります。
後にも先にも、スナックで歌うのはこれだけになるでしょう。どうも私には、この環境が合わないようです。好んで行く人の気持ちが全く分からない。結構なお値段だし……。二十歳そこそこの私にとって、いろんな意味で高いハードルであったことは間違いありません。
頑張ったよな……俺。











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