決断の誕生日

10月20日は私の誕生日。無事に53歳を迎えることができました。昨夜は好きな番組「情熱大陸」を見終わると、時刻は23時50分に近づいています。脳裏に浮かんだのは、「あと10分も経てば、年齢をひとつ重ねるんだな」という覚悟。気が付けば、無言のカウントダウンが始まっていました。

午前0時を過ぎると、全く実感がないまま迎える誕生日。深夜のリビングは私一人きり。誕生日メッセージが届くわけでもなく、淡々とテレビを見ながら過ごします。この日のスポーツニュースは、大谷翔平が投げては10奪三振、打っては3本塁打と異次元の活躍を報じます。

気分が高揚したまま寝室で横になると、あっという間に朝5時になります。弁当作りを終えて、最初に顔を合わせたのは妻。そこに「誕生日おめでとう」の言葉はありません。内心はお祝いメッセージを期待していたので、何とも言えぬ寂しさが心を支配します。

長女次女とすれ違っても、想像しているようなことは何も起こりません。「父親というのはこの程度の存在なのか」「家族への貢献度が足りないのか」「誰でもいいから祝福して欲しい」そんな複雑な思いから、私の女々しさが露呈してしまいます。私は仕方なく、朝食を黙々と食べることに。

しばらくすると、沈黙の中で妻が口を開きます。「53歳の抱負は?」私と目も合わせるでもなく、声だけが聞こえてきます。「おめでとう」なら「ありがとう」で返答するのですが、思わぬ質問に一瞬で頭の中が真っ白になってしまいました。口をついて出たのは「年収2000万」。私の嘘偽りない発言です。

ともすると、妻がした質問は味気なさを感じてしまうかもしれません。出勤途中にLINEをチェックすると、「HAPPY BIRTHDAY」のスタンプが届いています。ほぼ同時に長女からも「パパ誕生日おめでとう」のメッセージ。これまでの言動が腑に落ちるとともに、温かさを感じました。

私は誕生日というタイミングで、大きな決断をしました。13時51分にLINE送信、「いつもお世話になります。先日はありがとうございました。御社でお世話になることを決意しました。今後ともよろしくお願いします」と。腹が決まりました。もう後戻りはできません。

誕生日が決断日となるのは、むしろちょうどいい。そう考えて、実行したのです。今後将来、忘れられない日になることは間違いないでしょう。今日があったからこそ、現在があると思える未来にします。誰のせいでもない、全ては自己責任。いよいよ大海原へと舵を切ります。


思春期の娘を持つ父親のための
「オンライン座談会」開催中

思春期の娘を持つ父親が、安心して語り合えるオンライン座談会です。「娘とどう接したらいいのか、わからない」という悩みを共有し、子育てのヒントを見つけてみませんか?


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です