「64点、あと少し足りんかった」──それでも、娘は前を向いた

「64点、あと少し足りんかった」

長女の声が、はっきり私の耳に届きます。今日は日商簿記2級の受験日。長女からのLINE電話の着歴に気づいて、すぐに折り返し電話しました。2コールの呼び出し音が流れ終わる寸前、長女が電話に出ます。私はスマホを耳に当てながら、平静を装うことに集中。合否の連絡だと分かっていたからです。

「そうか……」

私は頭の中で必死に考えますが、一向に言葉が見つかりません。合格した場合は「おめでとう!」の一言で済みますが、そうでない場合は慰めや励ましの言葉を掛けようと思っていました。にもかかわらず、この様です。そうこうしている間に、長女が続けて話し出します。

「今回の点数は頑張れたと思う」
「前回が41点、ここまでアップできるとはね」
「でも、最後の受験と決めたからな」
「今後の進路は、先生と相談するよ」

もし私が長女の立場なら、結果を受け入れることができず落ち込むのではないかと。いつも前向きな発言を心がけていますが、結構引きずるタイプです。長女の態度は真逆。もちろんショックはあると思いますが、すでにこの先を考えているような発言に聞こえました。その潔さに、ただうなずくだけの私です。

一体、私にどんなサポートができるのか。ある時「あーしなさい、こーしなさい」というような強制をする言葉が多いことに気づきます。長女は納得するどころか、強く反発するばかり。私自身は「やらされること」が大嫌いなのに、親の立場を利用して見事に「やらせること」に注力していたのです。

それ以来、私は考え方を変えました。強いる「強制」ではなく、共に生きる「共生」へと。学校や駅の送迎、お弁当作り、長女の話を傾聴する、もしかしたら甘やかしているのでは?と疑問を抱く瞬間も――。それでも、自転車の補助輪のようにサポートできればいいと割り切りました。

点数はアップしたとは言え、不合格という現実は受け止めなくてはなりません。ここから長女がどのような行動をするのか。静かに、穏やかに、余計なアドバイスなどしないように、グッと堪えながら見守ります。長女なら大丈夫。彼女の成長を信じます。

私も決断の時が迫っています。信頼できる人に相談しながら、アドバイスや情報をもらいました。それでも、最後に決めるのは自分自身。長女も同様、道を切り開いて欲しいと願います。帰宅したらどんな言葉を掛けようか。今度は失敗しないように気を付けます(笑)。


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