妻のひと言で、弁当作りデビュー

今朝の一幕。

私が私服で自宅を出発しようとすると、妻が問いかけてきます。「最近私服姿が多いけど、仕事しているの?」(久しぶりの会話に、ほのかな嬉しさがこみ上げてくる)と。これを皮切りに、会話が思わぬ方向へ進み始めます。私はいつものように正直な返答を繰り返します。

「午前中は図書館で、午後はキリオに行く」
「だったら、弁当いらないじゃん」
「弁当はいる」
「弁当があることに感謝してる?」
「感謝してる」
「ドラマ見た?自分で作ってみたら?」

私は即答ができませんでした。しばらくは視点が定まらないまま、思考が混沌としている状態が続きます。本当に弁当があることに感謝しているのか、弁当を作る大変さを理解しているのか、当たり前のことだと思っていないのか。自問自答しつつ、テレビの音声だけが無情に聞こえてきます。

仕事をする上で、大切にしていることがあります。それは「当事者意識を持つ」ということです。過去の商談では、売りたい気持ちが強くて、相手の気持ちを置き去りにしてしまうことを経験。当時の私が実際に言われた言葉、今でもずっと記憶に残る教訓になっています。

(私の説明が終わると)
「この商品の良さは十分に分かった」
「ありがとうございます」
「ところで、あなたはこの商品を買ったの?」
「あ……はい……」(実際は買っていない)
「良い商品なら、自分が使わなきゃね」

契約には至りませんでした。当然です。完全に下心を見透かされていました。私は当事者意識の欠片もなく、一方的に説明をしていたのです。都合の良い言葉を並べることは、そのための訓練をしているのでいくらでもできます。嘘さえついてしまう始末です。

「よし、弁当を作ってみよう」と決意。弁当を作る経験から、当事者意識(つまり妻の立場)を持つことができると考えました。妻に対する感謝は本物なのか、もし口先だけの感謝ならば、自分を改めるいい機会になります。新しい自分を発見できるきっかけにもなるはず。

とは言え、料理はチャーハンくらいしか作れないのが事実。たくさんのおかずを弁当に詰めることなど、全く想像ができません。自分で作ると言ってしまった手前、もう後には引けない状態。「ご飯と、おかずはウインナーのみにしたら変だよな~」焦りが募ります。

弁当作りで、どんな感情が湧いてくるのか、どんな景色が見えてくるのか、どんな成長が待っているのか。これは「本当の感謝」を見つけるための挑戦です。料理ができる河村直紀、いいじゃないですか(笑)。


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