今回手に取ったのは、喜多川泰さんの『手紙屋 蛍雪編』。『君と会えたから……』『運転者』に続いて3冊目になりますが、やはりこの方の文章は心を掴んで離しません。読んでいると、まるで心を手で揺さぶられているような感覚になるのです。
帯には「何のために勉強するのだろう?」という問いかけ。まさに今、私が一番気にしていたテーマでした。その言葉を見た瞬間、書店の売り場で足が止まり、他の本を手に取っても、最後は必ずこの本に戻ってきてしまう。そんな不思議な吸引力を持っていました。
物語の主人公は高校2年生の女の子。大学進学を前に悩む姿から始まります。受験生である長女と重ね合わせながら読み進めるうちに、「そうそう、まさに長女と同じだ」と何度も口にしていました。
実際に長女に「何のために大学へ行くの?」と聞いてみると、「うーん……将来のためかな」と曖昧な答え。それでも私が学生の頃の「遊びたいから」「学歴があれば就職に有利だから」という動機に比べれば、よほど真剣に考えていると感じます。
読み進めるうちに、本が教えてくれたのはシンプルで本質的な答えでした。
「勉強=人の役に立つための道具」
目の前の試験や受験のためではなく、人を喜ばせるための準備。それを知った瞬間、心の奥でストンと腑に落ちたのです。
そして気づいたのは、これは勉強だけに限らないということ。「何のために仕事するのか?」という問いにも同じことが言えます。
営業職をしていると、つい目標や数字ばかりに囚われてしまい、自分の利益を優先してしまうことがあります。しかし本来の目的は、相手に喜んでもらうこと。その原点を忘れてはいけないと、改めて教えられました。
一冊の本から得た学びは、一生ものです。まだまだ修行は足りませんが、学び続ける姿勢を持ち続けたい――そう強く思わせてくれる一冊でした。
それにしても、やっぱり読書感想文って難しいですね(笑)。
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