「君と会えたから……」が教えてくれたこと

私は毎月、最低でも1冊の読書を自分の行動リストに入れています。今月手に取ったのは、一冊の小説──タイトルは「君と会えたから……」。どこか寂しげで意味深なその言葉に、不思議と惹かれるものがありました。

本を開くと、赤い折り紙が一枚、静かに挟まれています。「これは物語とどう関係があるのだろう?」と、小さな疑問が心に灯りました。表紙には草原、入道雲、そしてひとりの少女。そして、空に浮かぶたくさんの紙飛行機──立体的に描かれたそれらが、風に乗ってどこかへ飛んでいくような印象を残します。

帯にはこんな言葉がありました。

「あなたは、『今日』をどう生きます?」

まるで今の自分に問いかけられているようで、思わず手が止まりました。

読み進めると、その世界観にすぐに引き込まれていきます。舞台はちょうど今と同じ夏。ページをめくるたびに、まるで自分がその中に入り込んでいくような感覚になります。時折、意味のわからない言葉が出てきても、そのたびにスマホで調べ、著者の伝えたかったことをできる限り受け取ろうと努めました。

物語の主人公・ヨウスケは、将来や進路について思い悩む年ごろ。私は読みながら、思わず長女のことを重ねていました。口には出さなくても、同じように迷いや葛藤の中にいるのかもしれない──そんな想像が、胸に残ります。

もうひとりの登場人物、ハルカという少女は、美しく、どこか謎めいた存在。天真爛漫で、ときにお節介なほどヨウスケに寄り添い、数々の言葉を投げかけます。その一言一言に、私自身も勇気づけられました。まるで、夢をあきらめずに進みたいと願う私にエールを送ってくれているようで…。

物語が進むにつれ、ふたりが描く純粋で前向きな姿に、心がじんわりとあたたかくなっていきます。主人公は10代、私は50代──それでも、「今」を大切にすることの尊さは、年齢を超えて胸に響きます。

終盤には、まさかの展開が待っていて、気づけば毛穴がキュッと縮まり、鳥肌が立つような瞬間に。読み終えたあとは、「愛情」「青春」「夢」「縁」「命」「願い」「感謝」……さまざまなテーマが、静かに心の中に降り積もっていきました。

「人って素晴らしい。人ってあたたかい。でも、人って儚い……」

そんな想いが、余韻として残ります。

現代は情報であふれていますが、やはり書籍から得られるものは、どこか特別です。テレビでも動画でもSNSでもない、心の奥深くに触れる何かが、本の中にはある──そう強く感じました。

さあ、来月はどんな一冊と出会えるでしょうか。また楽しみがひとつ増えました。