妻は料理上手。その中でも特に美味しいのは、「メンチカツ」です。衣はカリっとして、中身は肉の味がしっかりしてほどよい堅さ。食レポ下手な私としては、このくらいの説明が限界。シンプルに「とにかく、美味しいんだ」と言いたくなります。
そもそも妻がメンチカツを作るようになったきっかけは何か。最初からレパートリーに入っていたわけではありません。トンカツ、コロッケのような揚げ物は食卓に並んだことがあります。私は食べながら、ふと大学時代を思い出したのです。そう、あのキャンパスで食べたメンチカツカレーを。
昼休みになると、大勢の学生が校舎の外に出てきます。芝生に寝ころびながら、「今日はお昼に何食べる?」がお決まりの会話。学食、飲食店、お弁当、いろんな選択肢がある中、ダントツ多かったのが学食のカレー。そこにトッピングしたのが、メンチカツなのです。
紙皿にはラグビーボールの形状をしたライス、直径10cmほどのメンチカツ、最後にカレーをかけてくれるわけです。そのまま学食を出て、芝生の上に胡坐をかくように座ります。日光を浴びながら、屋外で食べるカレーは最高です。今でも青春の1ページとして思い出されます。
私にとってメンチカツは、大学時代の記憶を蘇らせる味だったのです。「メンチカツは手間かかるんだよな~」と妻は言いつつも、見事なクオリティで作ってくれました。単に美味しいということだけでなく、芝生で過ごした大学生の私に戻ったような気持ちになります。
大学を卒業して約30年、「まだ、メンチカツカレーはメニューにあるのかな…」なんてことを思ったりもします。長い間訪れてはいませんが、大学ホームページを見るとあの芝生は健在です。もしかしたら、現在の学生も紙皿に乗せたカレーを堪能しているかもしれません。
料理の味は不思議です。食べた瞬間、パーっと走馬灯のように当時の光景が思い浮かぶのですから。「あー、あの頃に戻りたい」と思ったら、メンチカツを食べる。そのたびに、私は青春を取り戻すことができるでしょう。











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