私はほぼ毎日、弁当を持参しています。妻が毎朝手作りしてくれるので、栄養の心配をせず、安心して昼食を楽しむことができます。色とりどりのおかずを見るたびに、ちょっとした季節の変化や、妻の気遣いを感じるのです。
そんな日常の中で、今日の弁当はいつもと少し違っていました。なんと、長女が作ったハンバーグが入っていたのです。以前作って冷凍しておいたものらしく、妻がそっと詰めてくれたようでした。
午前中の仕事を終えると、いつもの駐車スポットへ。夏が近づくこの時期は、日陰になる場所を選びます。エンジンを止めて窓を半分開け、シートを少し倒す。この姿勢が一番リラックスできるんです。
さあ、お楽しみの昼食タイム。弁当の蓋を開けて、まずは白米をひと口。まだご飯が口の中に残っているうちに、箸は自然とハンバーグへと伸びていきました。
箸で小さく切り分けようとした瞬間、ちょっとした違和感。思ったより弾力があり、「もしかして少し硬いかも?」という一抹の不安が頭をよぎりました。しかし、実際に口に入れてみると、その予想はすぐに覆されました。
噛むたびに、じわじわと広がる肉の旨味。
「これは、うまい……!」
驚きと感動で箸が止まらず、あっという間に完食してしまいました。
このハンバーグは、以前、妻が体調を崩したときに長女が夕飯を作ってくれた際、妻が教えたレシピだったことを思い出しました。妻の味が、しっかりと娘に受け継がれている——そのことが、何よりも嬉しかったのです。
妻の料理は、本当においしい。私は内心「これは料理人にも負けていない」と思っているほどです。その味が、こうして娘にも伝わっている。成長を感じて、胸がいっぱいになりました。
「あぁ、こうやって少しずつ自立していくんだな」。嬉しさと、どこか寂しさが入り混じる気持ち。最近、こういう場面でつい感傷的になってしまいます。年齢のせいでしょうか。心の中に、秋風が吹くような感覚があります。
それでも、娘たちの自立を促そうとしている自分がいます。少しやせ我慢をしているような気もするけれど、大人になっていく娘たちを、心のどこかで楽しみにしていると言いたいところですが……うーん、やっぱり複雑ですね。
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