忘れてはならない記憶を胸に ― 戦後80年を迎えて

先日の夕方、帰宅途中の車内で、思いがけずテレビの映像が目に入りました。放送されていたのは「ザ!戦後80年の映像遺産SP池上彰×加藤浩次の運命の転換点」。

以前から気になっていた番組でしたが、放送日をすっかり忘れていました。エンジンをかけると同時にオーディオの電源が入り、目の前に戦争の記録映像が飛び込んできたのです。

私は日本の戦争史に関心があります。といっても、詳しく学んだわけではありません。それでも映像や写真に触れると、悲しさ、驚き、憎しみ、残酷さ、そして感謝――さまざまな感情が一度に押し寄せ、心を揺さぶられます。

数年前、広島平和記念資料館を訪れたときの衝撃は忘れられません。展示された写真や遺品の数々を前に、胸が締めつけられ、足が止まりました。戦争を経験していない私にとって、本当の意味で理解することは難しいのかもしれません。それでも、あの現実を「無理やりにでも脳に刻み込む必要がある」と感じたのです。

小学生の頃、学校の図書館にあった漫画『はだしのゲン』を思い出します。リアルな描写に、ページをめくるのをためらったこともありました。子どもながらに戦争の怖さを知り、記憶に刻んだ瞬間だったと思います。

意識して学ばなくても、戦争の記憶は少しずつ心に植え付けられてきました。おそらくそれは、私の親や祖父母、さらにその先祖が代々語り継いできたものでもあるのでしょう。

そんなことを考えているうちに、「もう一度、広島へ行こう」という思いがこみ上げてきました。実体験のない私が語る言葉だけでは、伝わる力が弱い。だからこそ、真実を直接見て感じ、その空気を肌で覚えておきたい。そして、それを自分の言葉で子どもたちに伝えたいのです。

時代が変わっても、決して失ってはならないものがあります。どんな社会になっても、普遍であり続けるべきものがあります。人間の根源に関わるその価値を守るために、私たちは立ち止まり、考え続けなければならないのだと思います。

一年に一度必ず訪れるこの日。答えが出なくても、正解が分からなくても、考える時間を持つこと。それこそが、過去と未来をつなぐ小さな一歩になると信じています。


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