私服で仕事?──新しい働き方を模索する50代の挑戦

平日の朝、いつものように身支度をしていると、妻からひと言。

「今日は仕事、休みなの?」

不思議そうな顔をしています。私は平然と、「うん、仕事するけど今日は私服でいいんだよ」と答えました。するとその場にいた長女も、同じような表情で私を見てこう言います。

「ほんとに仕事なの?私服でいいの?」

無理もありません。その日の私はTシャツにジョガーパンツという、まるで休日のような格好だったのですから。

かつての私にとって、「仕事着」と言えば、襟付きのシャツにスーツパンツが当たり前でした。会社員として、毎日同じ時間に出勤し、同じような業務をこなす日々。服装も、仕事のスタイルも、決まった枠の中に収まっていました。

そんな私が向かっているのは、図書館。誰とも会う予定のない一日です。目的は「一人作戦会議」。これからの行動計画をじっくりと練り上げる、そんな日です。

人と会わない日、思考をフル回転させたい日には、カジュアルな服装のほうが自分には合っている気がします。あくまで私個人の感覚ですが、服装の「快適さ」は、思考の「自由さ」にもつながっているように思うのです。

私はいま、新しい働き方を模索しています。好きなことを、好きなときに、好きな場所で、好きなだけできる仕事。そんな理想を思い描きながら、日々少しずつ前に進んでいます。

もちろん、頭のどこかでは「そんな働き方、本当にできるのか?」という疑いも消えてはいません。会社員として、与えられた仕事を淡々とこなしていた頃のほうが、むしろ楽だったかもしれないと思うこともあります。

でも――。

50代になった今、私は強く思うのです。もう“常識”に縛られたくない。「こうするべき」「こうでなければ」という既成概念を手放して、自分らしい働き方をしたい。

人生は一度きりです。「あのとき、もっと挑戦しておけばよかった」と後悔したくありません。だからこそ、一分一秒を大切に、実行あるのみです。

挑戦には困難がつきものです。次から次へと、まるで線路の枕木のように問題が現れます。時には「もうダメかも…」と心が折れそうになる日もあります。

それでも、私は夜、ベッドの枕元に置いた一冊の本に励まされています。タイトルは『成功哲学』。その中の一節が、静かにこう語りかけてくれるのです。

「絶対に、あきらめるな」

その言葉を胸に、私はまた次の朝を迎えます。