今夜はひとり、家族は“推し活”で遠征中。【後編】

今宵、焼肉モード全開
来ましたー!「焼肉の山力」、念願の一人焼肉、ついに達成でーす!

一人の夜を満喫するには最高の舞台。このお店は私の大のお気に入りなのですが、実は一つだけ難点がありました。それは、焼肉を焼くときに出る“煙”。家族で行くと、途中から子どもたちが「目に染みて痛い」と言い出すのです。

それ以来、「焼肉の山力」に行きたくても、泣く泣く自粛していた日々。しかし!今日は違います。偶然訪れた“完全なる一人の夜”。私の食欲を止めるものは、何もありません。

夜7時を過ぎると、空腹でお腹の音がゴロゴロ。もう我慢できず、向かった先は私の欲求の楽園「焼肉の山力」。人気店なので駐車場の混雑を覚悟していましたが、なんと幸運にも空きスペースを発見!すぐに車を止め、店内へ。

「一人、いけますか?」と尋ねると、「3番目です」と店員さんがニコリ。しばらく車中で待つことに。30分後、待ちブザーが鳴り、ついに入店。案内されたのは、あこがれのカウンター席。もちろん初体験です。

すぐさま、「牛カルビ1、とんちゃん2、めし大、赤だし、キュウリキムチ、ウーロン茶」と一気に注文。カウンター越しに次々と提供される料理に、テンションは爆上がり。「はい、おにいちゃん、カルビでーす」と、厨房から直接手渡しされるライブ感もたまりません。

肉を焼くのも自分、食べるのも自分、全てが自己責任の世界。焼き加減もペース配分も、自由自在。最初は不慣れでしたが、すぐに自分のリズムに入り込みました。

いつもは聞こえない声が、今日は聞こえる
一人で焼肉を楽しんでいると、両隣の会話が自然と耳に入ってきます。右隣の若いカップルに、厨房から年配の店員さん(見るからに優しそうなお爺ちゃん)が話しかけていました。

「おにいさんたち、どこから来たの?」
「静岡から来ました。どうしても食べたくて」
「わざわざありがとねぇ」

そのやりとりがあまりに温かくて、思わずほっこり。会話の最後には「気をつけてかえりいや」と送り出すその姿に、人情が滲み出ていました。

次にその席に座ったさらに若いカップルの女性が、「やっば、パンチが強い!」と味に感動している様子。その屈託のない反応に、私はつい口元が緩んでしまいました。

満腹、そして心も満たされる
ほぼ食べ終わったあと、ふと「まだいけるかも」と思い、追加で「めし小」を注文。完食後、もう本当にお腹がはち切れそうなほど満腹に。元気よく「ごちそうさまでした!」と伝えると、店員さんからは「ありがとうございました!」と元気の倍返し。

会計を済ませると、最年長の店員さんが「これ持って帰って」と、おしぼりを手渡してくれました。その笑顔に思わず「もう少し話していたい」と感じるほど。最後まで「ありがとうね」と声をかけてくださり、またもや心が温かくなりました。

今日は、ただお腹が満たされたというだけでなく、人の優しさに触れた夜でした(こんな優しい場所だったんだな~)。家族と行く焼肉ももちろんいい。でも、一人で行くからこそ感じられる“味わい”があることも、今回実感しました。思い切って来てよかった。またこんな時間、つくってみたいです。

ただ一つ気になるのは…ニンニク臭。何しろ私しか食べていないので、家族には匂いの免疫がありません。入念に歯磨きをしてから寝ようと思います。

一人の夜も、もうすぐ終わり。
おやすみなさい…。