私にとって、特別なお客様がいます。その方は、山田様(仮名)という60代の女性。出会ってから、もう20年近くになります。ご縁の始まりは、私が前職で地区担当をしていたときでした。初対面のときから会話の波長が合い、すぐに意気投合したことを、今でもよく覚えています。
それ以来、私たちは仕事の話だけにとどまらず、家族のことや趣味、時には悩み相談まで、さまざまな話題で交流を重ねてきました。面談中に話が盛り上がりすぎて、気づけば仕事の話を全くせずに終わってしまったこともあります。通常のお客様対応としては“あり得ない”ことかもしれませんが、山田様との時間は、いつも自然体でいられるのです。
私が山田様に対して素のままでいられる理由は、「河村直紀」という個人を見て、接してくださっているからです。一社員としてではなく、人としての私に価値を認めてくださっている――それが、何よりも嬉しいのです。そしてその思いが、自然と相手にも伝わり、信頼関係が育まれているのだと感じています。
会社が扱う商品は、全社員が同じものを提供しています。つまり、商品そのものでサービスに差が出ることはありません。それでも、成果に違いが出るのはなぜか。私は、その理由を「人柄」や「想い」といった“付加価値”にあると思っています。商品そのものの価値だけでなく、それを届ける人の姿勢や信頼関係が、何よりも大切なのです。
私には、ひとつの理念があります。――「自分に正直でいること」。私の性格上、自分が心から納得できていないことを伝えることに、大きな抵抗を感じます。たとえ表面的に仕事がうまくいったとしても、「本当にこれでよかったのか」と自問してしまう。そんなときもあります。
山田様は、そんな私の在り方に共感し、支えてくださいました。心から感謝しています。価値観や考え方は人それぞれですが、こうして自分を理解してくださるお客様がいる限り、私はこの姿勢を大切にしていきたいと思います。これからも自分を飾ることなく、ありのままの私でまっすぐに勝負していきます。
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