2026年1月15日は、私にとってX(エックス)デー。現在勤務する会社に別れを告げる日です。半年以上前から私の中では進捗していたものの、正式に退職の意向を申し出てはいません。正直なところ、言い出すのが怖い。熟考の末、所長との個別面談を公言する日に選んだのです。
いつものように車で会社へ向かう1時間ほどの運転。過去の記憶が走馬灯のように浮かび上がると、ハンドルを握る手には自然と力が入ります。初対面の相手に怒号を浴びせられたこと、足元が見えず側溝に転落して泥だらけになったこと、夜遅くまで建物の入口で待っていたこと、試練とも思えるようなエピソードばかり。
昔の記憶に想いを馳せていると、あっという間に営業所です。朝のミーティングが終わると、「河村さん、11時から打ち合わせよろしくね」と声が掛かります。私の想いなど知る由もない、所長らしい軽快な振る舞い。しっかり想いを伝えられるだろうか…不安が過ります。
定刻になり、いよいよ面談。所長は何事もなかったかのように、私の目前に資料を差し出します。「最近、調子はどうですか?」「何かお手伝いできることはありませんか?」と、優しすぎる言葉が私には残酷です。次の言葉が発せられる前に、意を決して切り出します。
「……所長にお話したいことがあります」
「どうぞ」
「会社……辞めようと思います……」
「……やっぱりそうですか」
「はあ……」
「多分、そういう話だろうと思ってました」
所長はすでに感づいていたようです。私はもともと嘘をつくのは下手くそ、想いはしっかり言動に表れていたのでしょう。変に取り繕うような話をしても自分らしくない。そう思うと、次第に緊張がほぐれ始めます。所長も私の態度に気付いたのか、厳しさが消えて柔らかい眼差しに。
「私には目標があります」
「どんな?」
「年収2000万円」
「以前にも言ってたよね」
「はい、そのために環境を変えたいんです」
「なるほどね」
50代の男性二人が、上司と部下の垣根を越えて本音で語り合います。もはやお互いの肩書は意味を持たず、ここが職場であることすら忘れていたのかもしれません。私は思いの丈を言葉にすることで、思わず目頭が熱くなる場面も。今までひた隠してきたことを、一気に解放したせいでしょう。
話し合いが終わって立ち上がると、体に力が入らないくらいの疲労感。山場を乗り切って、大きく前進したことは間違いありません。これで、本当に会社との決別を宣言したことになります。さあ、前進あるのみ!ですが……うん?……変だな……すき間風を感じる……寂しい……。











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